わたしたちは、
あらゆる差別と人権侵害に
反対します

大阪府知事・大阪市長ダブル選挙をめぐる
橋下徹氏に関する一連の週刊誌差別報道に対する抗議

 大阪府知事・大阪市長ダブル選挙をめぐって、橋下徹・前大阪府知事に関する『新潮45』『週刊新潮』『週刊文春』など雑誌・週刊誌報道が過熱化しています。
 その内容は、「橋下バッシング」を基調にしながら、橋下氏本人と親族の出生や成育過程に関わる記事の中で、殊更に被差別部落と暴力団をとりあげています。
 記事の論調は、橋下氏個人、あるいは「ハシズム」と呼ばれる政治姿勢に対する危険視や悪感情を焦点化するために、社会的に温存されてきた被差別部落に対する差別意識を煽るとともに暴力犯罪組織排除の世論と結びつけ、読者に対して「部落=ヤクザ=怖い社会的存在」へとデマゴギーリードしようとしています。
 こうした報道姿勢は、差別・排外世論を形成し煽動する、「第三の権力」と言われるマスコミによる悪意に充ち満ちた差別・暴力であり、権力犯罪とも言えます。
 部落差別問題は、これまで結婚・就職など様々な差別事件として立ち現れてきています。差別の助長・拡大や人権侵害につながる動きに対しては、各地域での反差別の取り組みや1970年代に社会的各界各層の人々によって全国的に高揚した狭山差別裁判糾弾闘争など、反差別・人権擁護の運動として取り組まれてきました。
 しかしながら、今回の一連の雑誌・週刊誌報道は、多くの人々が積み上げてきた反差別の取り組みに逆行し、また、被差別部落の人々に対する新たな差別意識を煽り立てる内容であり、満腔の怒りを持って抗議します。
 さらに、各界各層の人々がより一層、反差別・人権擁護の視点をもち、差別報道に対してともに怒りを表明されんことを訴えます。

< 抗 議 文 >

文藝春秋社
『週刊文春』編集長殿

特定非営利活動法人
生活者運動ネットワーク・サン
代表理事 杉野正幸雄

 私たち「生活者運動ネットワーク・サン」は、大阪を基盤に、社会的に弱い立場にある生活者の自立支援活動を目的の一つに掲げるNPO法人です。
 その立場から、今般、貴誌(2011年11月3日号)に載った記事とその広告<橋下徹42才 書かれなかった「血脈」>について、強い憤りと危惧を覚えるものです。
 すでに他誌の『新潮45』(2011年11月号)が「最も危険な政治家橋下徹研究」の中で、上原善広なる人物によって、橋下氏の父が被差別部落の出身で、暴力団の構成員だったことを明らかにしていますが、正直なところ、それがどうした、それで何を言いたいのか、と疑問を感じていたところです。
 被差別部落と暴力団を意図的に結び付け、被差別部落出身であることが、何か秘匿すべき悪業のごとき記述について、非常に違和感と危機感を持ちました。
 ところが、その『新潮45』の一文をよりどころに、より露骨で醜悪な記事と広告を載せた『週刊文春』が発売されたことに衝撃を受けました。
 貴誌は、橋下氏の出自や、親族に暴力団員がいたことを(「血脈」がもとで窮地に)との見出しまでにしてスキャンダラスに書きたてることは何を意図しているのでしょうか。
 ネットワーク・サンには、被差別部落出身者の会員もいます。部落差別が厳然としてある今日の社会状況の中で、猟奇的にその出自を暴露し、暴力団との親族関係を報道する合理的理由、社会的意義がどこに存在するのか、はなはだ疑問に思います。
 橋下氏が弁護士時代から知事在任中の独裁的な政治手法(合理化・教育基本条例)が多くの雑誌で批判が繰り広げられていますが、しかし、橋下氏の政治手法(変節・裏切り)をいかにも被差別部落出身者・親族に暴力団組員が原因であるかのように書きたて、「血脈」という用語を使い、被差別部落出身者=暴力団(ヤクザ)という構図をつくりあげ、今なお部落差別が厳然としてある中で、差別扇動をしていると断じるものです。
 本来ならば、橋下氏の政策についての具体的な批判等を記事にし、読者に判断材料を提供するべきであるにもかかわらず、読者に購買意欲を掻き立てるためだけに、氏の出生や「血脈」ついて暴露をすることで何を読者に問いかけているのかが不可解でなりません。

 今、大阪は府知事と大阪市長のダブル選挙となったことで、国政選挙以上に大きな注目を集めています。私たちは、もちろん橋下氏が知事在任中に公務員改革の名の下に行なった合理化や、教育基本条例案に強く反対する立場です。
 しかし、今回の記事を単に選挙につきもののネガティブ・キャンペーンのひとつとして看過することはもちろん、いかなる陣営であれ、部落差別を利用した差別扇動のキャンペーンを座視することはできません。
 興味本位に売るためだけの、『差別を商う』行為の猛省をうながすとともに、ここに強く抗議し、回答を求めるものです。
 2011年11月11日

< 抗 議 文 >

新潮社
『週刊新潮』編集長殿

特定非営利活動法人
生活者運動ネットワーク・サン
代表理事 杉野正幸雄

 私たち「生活者運動ネットワーク・サン」は、大阪を基盤に、社会的に弱い立場にある生活者の自立支援活動を目的の一つに掲げるNPO法人です。
 その立場から、今般、貴誌(2011年11月3日号)に載った記事とその広告<「同和」「暴力団」の渦に呑まれた「橋下知事」出生の秘密>について、強い憤りと危惧を覚えるものです。
 すでに『新潮45』(2011年11月号)が「最も危険な政治家橋下徹研究」の中で、上原善広なる人物によって、橋下氏の父が被差別部落の出身で、暴力団の構成員だったことを明らかにしていますが、正直なところ、それがどうした、それで何を言いたいのか、と疑問を感じていたところです。
 被差別部落と暴力団を意図的に結び付け、被差別部落出身であることが、何か秘匿すべき悪業のごとき記述について、非常に違和感と危機感を持ちました。
 ところが、その『新潮45』の一文を元に、より露骨で醜悪な記事と広告を載せた『週刊新潮』が発売されたことに衝撃を受けました。
 貴誌は、橋下氏の出自や、親族に暴力団員がいたことをスキャンダラスに書きたてることによって何を意図しているのでしょうか。ネットワーク・サンには、被差別部落出身者の会員もいます。部落差別が厳然としてある今日の社会状況の中で、猟奇的にその出自を暴露し、暴力団との親族関係を報道する合理的理由、社会的意義がどこに存在するのか、はなはだ疑問に思います。
 さらに言えば、橋下(ハシシタ)姓の人々に対する差別や嫌がらせが起きたとき、どう責任を取るつもりなのでしょうか。
 今、大阪は府知事と大阪市長のダブル選挙となったことで、国政選挙以上に大きな注目を集めています。私たちは、もちろん橋下氏が知事在任中に公務員改革の名の下に行なった合理化や、教育基本条例案に強く反対する立場です。
 しかし、今回の記事を単に選挙につきもののネガティブ・キャンペーンのひとつとして看過することはもちろん、いかなる陣営であれ、部落差別を利用した差別扇動のキャンペーンを座視することはできません。
 興味本位に売るためだけの、『差別を商う』行為に猛省をうながすとともに、ここに強く抗議し、回答を求めるものです。
 2011年11月8日